これさえ読めばだいたいわかるー犬の予防・狂犬病予防について

こんにちは!

春の予防シーズンが近づいてきました。

ワンちゃんを飼ってらっしゃる方は、毎年狂犬病のワクチンを打っていますが、なぜ打つ必要があるのか、そもそも狂犬病ってなんだ?ということを今一度、確認してみましょう。

これさえ読めば、だいたいわかるようにまとめてみました。もっと詳しいことを知りたい方は、厚生省のHPなどに詳しく載ってますので参考にしてみてください。

世界的にはメジャーな病気、狂犬病とは

狂犬病は、感染すると死亡率ほぼ100%の感染症です。原因は狂犬病ウイルスで、ヒトを含むほとんどの哺乳類に感染し、150以上の国や地域で発生がある現在も広く蔓延しています。海外では、毎年5万人以上が犠牲となっており、アジア・アフリカ地域に95%が集中し、犬が感染、蔓延の主な原因となっています。北米地域では、コウモリによる蔓延も指摘されています。感染した動物に噛まれることにより、唾液中のウイルスが体内に侵入して感染します。

ヒトに感染すると1〜3ヶ月ほどの潜伏期間ののち、倦怠感などの感冒症状から始まり最終的にはけいれんなどの脳炎症状を発症し、呼吸困難に至り死亡します。この時、水を見るとけいれんすることから恐水症と呼ばれることもあり、紀元前にすでに恐水症の存在と、不治の病だったという記録があるとも言われています。

狂犬病地図厚生省HPより抜粋

日本での取り組み

日本でも、飼い犬や野良犬からの感染により毎年のように死亡者が出ていました。特に、震災後など、社会的に混乱する時期に広がることがありました。

戦後、飼い犬の登録と狂犬病ワクチン接種の普及、野良犬の係留により、1957年を最後に発生が無く、数少ない清浄国となっています。そして、二度と狂犬病を国内にて発生させないよう、狂犬病予防法によって、91日齢以上の飼い犬へのワクチンの接種が、飼い主に義務付けられています。年一回の接種が必要です。
役所の手続きの関係もあり、4〜6月ごろの接種が推奨されていますが、特に打つ時期に制限はありません。

初めて打つと、鑑札と済票が発行されます。鑑札は一生に一度しか発行されませんので、大切に保管してください。済票は、毎年接種されるたびに、発行される「接種証明」です。

接種方法は、公園や学校などに集まって、一度のたくさんの犬が接種を受ける集合注射と、各動物病院で受けていただく場合があります。当院で接種の際は、予約の必要はありません。茨木市の方は、4月から済票や鑑札発行手続きも当院でできます。
他市の方も狂犬病ワクチンの接種は可能です。接種後、各市の所管の役所等にお渡しする接種証明書をお持ちいただきお手続きをお願い致します。

発生がないので恐さが薄れてきている

このように、世界的にはまだまだ被害のある狂犬病ですが、日本では島国という地理的条件と、先人の狂犬病撲滅の努力によって、幸いにも数少ない清浄国です。

しかし、狂犬病の恐ろしさ自体も意識することがなくなり、接種率は減少傾向にあります。集団免疫として、流行を防げるのはワクチン接種率70%以上と言われています。現在は、登録犬では70%を上回っていますが、登録していない犬を含めた全飼育数を推定した数での接種率は40%程度です。台湾では、日本と同じように島国ですが2013年に狂犬病ウイルスが野生動物から発見されました。

このように、清浄国とはいえ、発生が今後もないとは言えません。流行させないよう、また、ワンちゃんやご家族自身を守るためにも狂犬病ワクチンの接種をお願い致します。

大阪府茨木市もみじ動物病院

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